メンバー ()内は所属
東郷寿日太(委員、慶大)
西野結子(委員、筑波大、むじな)
南幸佑(東大、澤)
森田雪虚(早大、鷹)
岸快晴(岐阜大)
まず句作にあたってテーマを募りました。
もう真剣です!
投票の結果「海辺の旅」に決定。句作を開始します。
主催は句数で皆を刺激します。
(圧力とも言います。)
十分な句数ができたところでZoomに集合です。
予め南さんが季節毎に句をまとめてくれました。
非常に助かりました…!
春の句が一番多いですが、その他の季節もバランスよくあります。そこで以下の指針で句をまとめることに。
・春→夏→秋→冬→春 と回帰する
・南から北に移動し、最後に帰る
・旅の同行者がいる想定
時間経過や場面転換を意識して句を並び替え「流れ」を作ります。その中で、同じような季語や場面の句が二つあれば、一方または両方を削ります。辛いですが、ここは心を鬼にせねばなりません。
2時間半で何とか25句までサイズダウン。ところが別の問題が発生します。
「あーこれもう少し作らないとですね(絶望)」
句数は足りているにも関わらず、流れの中で「ここに欲しい!」という季節や場面の句がないことが発覚したのです。。。
頑張って一晩で足りないところを句作し、朝早くから臨みます。
付け足したり削ったり入れ替えたり…細かく形を整え連作を仕上げます。
最後にタイトルづけ。象徴的になり得る言葉を抜き出してみます。結果、1句目の「旅のしおり」と9句目の「砂の脚」を折衷して「しおりの砂」に決定、これにて完成です!!
2日間で5時間強の大作業でした。。。
鑑賞会では、Bチームの方々から以下のようなコメントをいただきました。
(清水瞳美)連作を通して統一感があり、潮の匂いを感じた。後半は日本海らしい趣きがあった。
(佐藤華子)春から春に戻ってくる構成が素敵だった。〈「キャンプ地とする!」〉に代表される夏の活発さと、後半の暗さのコントラストがよかった。
(佐藤知春)〈涼風や〉は自分の足を客観的に捉えているのが面白い。公園の砂場か砂浜か迷ったが、前の3句の流れから海辺の句だと考えた。
(中村颯太)〈旅のしおり〉に始まり〈花疲れ〉で終わる構成で、起承転結がはっきりしていている。「しおりの砂」の句が一つあるとなお良かった。
統一感を持たせつつも多様な海辺の表情を描いた点を評価いただき、おおむね狙い通りの連作を編めたと思います!
今回、Aチームのメンバーの句はかなり個性豊かでした。〈「キャンプ地とする!」〉はかなりキャッチーですし、25句目の〈起こさでおく〉の終わり方もいい意味で癖があります。俳句賞「25」では多様な作風が一つの作品に盛り込まれるので、個々の特徴をどうやって活かすかが重要だ、と南さんが仰っていましたが正にその通りだと思います。
チーム作品ならではの事象もありました。作者が二人書かれている句がありますね。これは森田さんの元句が〈駅名に浜の字多き初夏の旅〉だったのを、南さんが下五に「五月かな」を提案し、採用されて共同作者となった…という経緯です。結果この句は一句選で特選をもらいました!このような化学反応もチーム連作の醍醐味です。